| A-1 | 睡眠時無呼吸症候群の長期予後に関する検討 |
| 1)順天堂大学医学部精神医学講座、神経研究所2)附属睡眠呼吸障害クリニック、 3)国立療養所鳥取病院 | |
| ○井上雄一1)、新井平伊1)、難波一義2)、坂本泉3)、高田耕吉2) | |
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睡眠時無呼吸症候群(SAS)において、その重症例では生命予後が悪化する事が知られているが、ポリソムノグラフィー(PSG)指標ならびに自覚症状・合併症の経年変化については、充分な検討がなされていない。今回我々は、初診後長期経過したSAS患者について、上記の問題点につき検討した。 対象と方法: 初診後5年以上経過したSAS患者109名(男性98名、女性11名、初診時平均年齢50.3±13.0才)を対象とした。その初診時無呼吸低呼吸指数(AHI)は31.9±21.5であり、追跡期間の平均は100.4±39.8ケ月であった。これらに対し、生命予後ならびに自覚症状・合併症の変化、各種治療の効果とコンプライアンスについて調査を行った。また治療中断例ならびに保存的治療を受けておりその中止が可能であった42症例については、PSGを施行し初診時点での所見と比較した。 結果: 1)治療によりAHIが20以下かつ50%以上減少した有効例(50例)においては、72.0%で初期治療時点での自覚症状、合併症の改善が維持されていたが、未治療ないし治療無効例(59例)では40.7%で心血管系合併症の発現ないし日中過眠の増悪が認められた。特に増悪傾向は、初診時AHI20以上の症例で顕著であった。 2)死亡例は8例存在したが、うち7例は未治療もしくは治療コンプライアンス不良の症例であり、3例は夜間睡眠中に突然死していた。 3)PSGを再検した42例においては、全体としてみると無呼吸持続時間の延長とSaO2 90%以下の時間の延長がみられた。AHIに関しては、初診時AHI20以上の群では、予後調査時点でその値に一定の変化はみられなかったが、AHI20未満の群では有意な増加が認められた。また年代別にみると、40〜60才の症例で有意なAHIの増加が認められたのに対し、40才未満ないし60才以上の症例では一定の変化はみられなかった。 考察: 以上の結果より、AHI20以上のSAS患者では充分な治療を行わないと、臨床症状が増悪し死亡の危険性が上昇することが確認された。PSG指標に関しては,長期経過中に無呼吸持続時間が延長してSaO2下降が増悪することが確認された。また特に中年期の症例では、軽症例であっても無呼吸頻度が増加していく可能性があるため、早期に治療を開始する必要があるものと考えられた。 | |