| B-1 | オレキシンのラット第三脳室内連続注入による覚醒効果 |
| 東京医科歯科大学・生体材料工学研究所,大阪バイオサイエンス研究所* | |
| ○ 本多和樹,Moses Akanmu, 望月貴年*,井上昌次郎 | |
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オレキシンは摂食を調節する神経ペプチドとして同定され,視床下部外側部とその周囲に特異的に存
在する1, 2)。オレキシン受容体には1型と2型が存在するが,オレキシン含有ニューロンは脳内に広く分布し,睡眠-覚醒調節に重要とされている部位には強い神経投射がある3, 4)。最近,ヒト・ナルコレプシーの動物モデルであるイヌ・ナルコレプシーにおいてオレキシン受容体2の遺伝子変異が報告され5),続いてプレプロオレキシン遺伝子ノックアウトマウスがナルコレプシーの症状を示すことが報告された6)。ヒト・ナルコレプシーにおいてもオレキシンシステム神経伝達障害が報告され7),オレキシンの睡眠-覚醒調節機構への関与が示唆される。そこで本研究では睡眠-覚醒調節におけるオレキシンの役割を理解する目的で,正常雄ラットを用いオレキシンAおよびBの第三脳室内への連続注入実験を行い,覚醒,ノンレム睡眠およびレム睡眠それぞれの睡眠パラメータにおよぼす効果の解析を試みた。 12時間交代の明暗条件下で飼育したSprague-Dawley系雄ラット(60-70日齢)を被験動物として 用いた。ネンブタール麻酔下で脳波および筋電図記録用電極と脳温計測用のサーミスタプローブを装着 し,第三脳室内にはオレキシン注入用のカニューレを慢性的に装着した。手術後1週間の回復期の後, 生理食塩液の第三脳室内連続注入に1週間以上馴らしてから実験を開始した。オレキシンは1-40 nmol を50 μlの生理食塩液に溶かし,明期(08.00-20.00)の11.00-16.00に生理食塩液のみの連続注入 と置き換え,5時間持続して被験動物の第三脳室内に投与した。各睡眠パラメータは前日の生理食塩液 のみを連続注入した値を対照として比較した。 オレキシンB 40 nmol 群(n=4)では投与期間における覚醒総量が185.7±33.2分となり,対照 群と比較すると71.3%の統計的有意な増加であった。いっぽう,ノンレム睡眠およびレム睡眠の総量は 108.3±29.5分と 6.2±5.1分で,対照群と比較するとそれぞれ62.8%および33.2%の有意な減少で あった。その他の用量における覚醒作用については脳波の周波数解析を含めて現在検討中であるが,オ レキシンBとオレキシンAの効果を同じ用量で比較するとAの方がBより強い覚醒効果を示した 第三脳室内連続注入法を用いて120 μg (40 nmol)のオレキシンBが強い覚醒作用を有することを 見いだした。側脳室投与ではオレキシンA 30 μgの覚醒効果が報告8)されているが,同用量のオレキ シンBには覚醒効果がないとの報告がある9)。今後投与部位あるいは投与用量によるオレキシンの覚醒 作用発現の違いについて詳細な検討を行うとともに,オレキシン受容体1型と2型の睡眠-覚醒調節機構 への役割について考察を加える。 1. Sakurai T et al. Cell 1998: 92: 573-85. 2. De Lecea L et al. Proc Natl Acad Sci USA 1998; 95: 323-7. 3. Peyron C et al. J Neurosci 1998; 18: 9996-10015. 4. Nambu T et al. Brain Res 1999; 827: 243-60. 5. Lin L et al. Cell 1999; 98: 365-76. 6. Chemelli RM et al. Cell 1999; 98: 437-51. 7. Nishino S et al. The Lancet 2000; 355: 39-40. 8. Piper DC et al. Sleep Res Online 1999; 2(Suppl 1):73. 9. Smith MI et al. Sleep Res Online 1999; 2(Suppl 1): 82. | |