| B-9 | 30m Nitrox飽和潜水が睡眠に及ぼす影響 |
| 1)東亜大学大学院情報システム専攻、2)韓国慶南大学校工科大学産業工学科、3)海洋科学技術センター4)昭和病院 | |
| ○永嶋 秀敏1)、松本一弥1)、徐 有振2)、毛利元彦3)、楢木暢雄3)、松岡成明4) | |
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目的:本研究は、深度30m相当圧での窒素-酸素飽和潜水環境が睡眠に及ぼす影響を検討した。 方法: 深度30m相当圧での窒素-酸素飽和潜水模擬実験は、日本海洋科学技術センター内に設置されている潜水シミュレータD1チェンバーを使用して、異なる時期に計4回実施した。4実験とも被験者は、女性2名を含む健康なダイバー16名であったが、このうち1名の睡眠脳波記録が一部欠損したため、残り15名を対象者とした。その年齢は20〜37(26.9±5.9)才で、このうち、飽和潜水実験への未経験者は女性の2名(21、23才)を含む計8名(23.0±2.3才)、経験者は7名(31.3±5.6才)であった。4実験は、全て同じ潜水条件で行った。実験は、4日間の事前観察を行った後、実験5日目の10時に初期加圧として9m深度相当圧まで1m/minの速度で空気加圧を行った。引き続き窒素ガスにより20m/Hrの加圧速度で再加圧し、同日11時18分に30m深度相当圧に到達し、その後172時間32分間、海底に滞在した。 U.S.Navy diving manualを用いて、実験12日目の15時50分より減圧を開始し、14日目の20時に大気圧に戻った。減圧終了後約4日間のpost-dive期(92時間)の観察を行った。温度条件は全実験期間を通して温度25〜26℃、湿度60%を維持した。また、照明条件は16時間点灯(07:00〜23:00)8時間消灯(23:00〜07:00)のリズムを維持した。全実験期間中の夜間睡眠ポリソムノグラフは、標準的な方法により延べ255夜の有効記録が得られた。全夜は、RechtshaffenとKalesの基準によって20秒区画毎に視覚判定した。起床後には、主観的な入眠潜時と中途覚醒数、および熟眠感、起床気分などを4段階で評価させた。各対象者の第2夜から4夜目までの3夜の平均をpre-dive期とし、同様に第5夜から8夜目までの4夜の平均をfirst-bottom期、第9夜から11夜目までの3夜の平均をsecond-bottom期、第12夜から13夜目までの2夜の平均をdecompression期および第14夜から17夜目の4夜の平均をpost-dive期とした。この5期の睡眠位相を独立変数とし、睡眠パラメータを従属変数とする一元配置の分散分析と、Newman-Keulsのpost Hoc testを行った。 結果: 全睡眠時間(F=6.3, p<0.001)と睡眠効率(F=7.6, p<0.001)は、いずれもpre-dive期からdecompression期またはpost-dive期にかけて暫時短縮および減少した。中途覚醒時間は、pre-dive期に比して、first-bottom期、second-bottom期およびdecompression期でいずれも有意に増加していた(F=4.6, p,0.003)。入眠潜時は、pre-dive期からpost-dive期にかけて急激の増加し(F=7.7, p<0.001)、pre-dive期に比し、decompression期およびpost-dive期で有意な差が認められた。REM睡眠は2つのbottom期で有意に短縮したが(F=8.7, p<0.001)、その他の睡眠変数には睡眠位相に有意な効果がみられなかった。飽和潜水の経験・未経験別および潜水位相を独立変数とする2元配置の分散分析を行った結果、未経験者群のdecompression期における入眠潜時のみ有意な延長傾向が認められたに過ぎなかった。しかし、未経験者群の主観的な入眠潜時は、経験者群よりもdecompression期とpost-diveで延長傾向にあった。 以上の結果から、30mNitrox飽和潜水のbottom期およびdecompression期では入眠潜時の延長と中途覚醒の増加をともなった全睡眠時間の短縮、および入眠潜時はpost-dive期まで有意に延長していた。これらの変化は、減圧と閉鎖環境下での長期間拘束による心理的ストレスに関連しているものと推測された。 | |