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鼾相談患者5284名に見る耳鼻咽喉科疾患との関連について

1)池松武之亮いびき研究所・2)夜久耳鼻咽喉科3)池松武之亮記念クリニック・4)池松歯科医院・5)虎の門病院

○池松亮子1)    夜久有滋2)    馬場礼三3)    池松武直4)    成井浩司5)

 近年、いびきおよび睡眠時無呼吸症候群に対し一般の人々の認識も高まり、以前に比べ治療に取り組む医療機関も増加している。しかし、患者の中には耳鼻咽喉科において「異常なし」と診断され、治療の対象から外され何科を受診すれば良いのか困惑している人々が多いのも事実である。
今回我々はこの10年間にいびきを主訴として相談に訪れた5284名に対し、耳鼻咽喉科疾患との関連について検討したので報告する。

【対象と方法】 19905月から20003月までにいびきを主訴に相談に訪れた5284名(男性2977名・女性2307名)に対し、同一耳鼻咽喉科医の所見といびきカウンセラーによるいびき音の傾聴及びアンケート調査によるスクリーニングの内訳を検討した。
 さらに19993月からは関連機関において終夜睡眠検査が可能となったため、20003月までの13ヶ月間に訪れた640名(男性392名・女性248名)に対しては、習慣性いびきと睡眠時無呼吸症に分類し、症状に応じ検査の実施と治療方針について検討した。

【結果】 いびき相談者5284名のうち33%に当たる1743名には、いびきを主訴に耳鼻咽喉科を受診したが、治療対象外とされた経緯があった。また全体の74% 3698名にも治療を要する耳鼻咽喉科疾患は見られなかった。後者640名については70%に耳鼻咽喉科疾患は認められなかったものの、睡眠時無呼吸症が疑われPSGを施行した患者は277名で、そのうちAHI20以上で睡眠時無呼吸症と診断され、CPAP導入となった例は98名であった。また、習慣性いびきや軽度睡眠時無呼吸症で外来手術を希望しUPPを施行した例は46名、中等度および重度睡眠時無呼吸症でUPPP施行例8名、歯科装具スリープスプリントの適用は135名、その他神経内科疾患が疑われた例は7名であった。

【考察】いびき相談者には鼻やのどに病的原因があると思い込み、最初に耳鼻咽喉科を受診した例が多く見られた。鼻閉がある場合のいびきやいびきの責任部位が軟口蓋に見られることが多いため、耳鼻咽喉科でのチェックは欠かすことができない。しかしながら、各医療機関によっていびきの診断基準に違いがあり、無呼吸を伴わない単純いびき、或いは疾患の伴わないいびきに関心を向ける医師は少なく、いびき治療に応じる医療機関が非常に少ない状況であることがわかった。また、単なるいびきと思い受診した患者の中には、重症な睡眠時無呼吸症や脊髄小脳変性症のShy-Drager症候群も存在していた。

【まとめ】いびき症及び睡眠時無呼吸症は、21世紀の国民病とも言われるだけに、患者が最初に訪れる耳鼻咽喉科ではスクリーニングの方法、音の傾聴、手術適応等の診断基準の統一化をはかることが必要であり、また呼吸器科・神経内科・歯科・精神科等の他科との連携が重要であると思われた。

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