[註3] 夢と幻覚
 夢とよく似た体験に幻覚というものがある.どちらも実在する対象をもたない点で共通している.ところが幻覚は覚醒している時と同一の自我によって体験されるのに対して,夢は現実世界との時間的,空間的な連続性を失った自我によって体験される.つまり,幻覚は覚醒の世界の出来事であり,それ故に現実性を備えている.一方,夢は現実世界との時間的・空間的連続性を失った自我によって体験されており,現実性に乏しいところが異なる。入眠期は半醒半睡状態のため、どちらの自我状態なのかを区別することが困難である。また、健常者にごく日常的に起こる現象を、異常心理学の用語で記述するのには抵抗がある等の考えもあり、古くは入眠時幻覚と呼ばれていたが、最近は入眠時心像と呼ぶことが多い。


[註4] 夢と思考
 夢は「睡眠時に現われ,視覚性,聴覚性,運動感覚性等の明瞭な心像を持ち,個々の心像は構成の複雑性と連続性を保ちながら相互に統一され,それ自体で1つ以上のドラマが形成されているもの」と定義される.思考は「感覚心像を欠くか,あっても内容に脈絡がなく,心像の体験が覚醒時の自我と同一延長線上にある場合」を指す.レム睡眠の夢では生々しく奇怪な「夢らしい夢」が多いが,ノンレム睡眠の夢は断片的で「思考的な夢」が多く,心像を伴わない「思考」が大半を占めている.


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